小学校でのコオーディネーショントレーニング実践【三浦 文夫先生インタビュー】 

今回のインタビュー
大和市立西鶴間小学校 校長
三浦 文夫 先生
 2016年にJACOT認定ライセンスを取得。校長先生自ら体育の帯での指導や休み時間での実践を積極的に行うなど、アクティブかつ指導中の笑顔が印象的な三浦先生にお話を伺いました。
※役職は2016年インタビュー当時のものになります。

「できる」中心の指導ではない体育

読売新聞で紹介された記事「脳刺激・体の感覚養う」(2015 年5 月14日) を見て、興味を持ちました。子どもの成長・発達は、机に座った学習だけでなく、身体の動きと大きく連動しているとずっと思っていました。しかし、実際の体育での指導では「できること」中心の指導をしてきたので、記事を見た時に非常に興味を持ちました。

JACOT さんにご相談し、本校で教員研修と6回の授業を行って頂くことになりました。また、東京の小学校での研究授業や親子交流の授業を見学させて頂きました。親子交流は、子どもと保護者にとって、とても良い時間だったなと、一番心に残りました。その後、本校でも研修会を開催し、市内の先生方にもご参加頂くことが出来ました。

ライセンス受講、すぐに体育で実践

2016 年にライセンスセミナーを受講して、やっと少し分かってきたなという感じです。特に、理論的なものが分かっているのと分かっていないとでは、確かに違うなと実感しています。動きはそれなりに出来るのですが、やはり「似て非なるもの」だと思います。

理論が分かっていれば「この動きのここが大事」と分かると思うのでライセンス教本はとてもありがたいです。取得後は、ともかくまずやってみることが大切だと思い、すぐに計画書とプログラム案を提出させて頂いたのですが、なんとなく作ったものだったので、少し不安でした。

JACOT さんの指導では臨機応変に子どもの姿を見て、プログラムを変えてらっしゃると思うのですが、私はまだそこまでは辿りついていないので、メールで計画書とプログラム案にアドバイスを頂いたのが本当にありがたかったです。

体育以外の教育活動にも

コオーディネーショントレーニングで、特に魅力的と感じたのは、スキルではなく、全体的な発達を考えているところです。また、何かをスキルアップするのではなく、刺激を与えて、その成長を促すという考え方、そして良い刺激を与えることが大事、その視点がすごく斬新だと思いました。

教師は「できるようにさせたい!」という思いが強いので、出来なかったスキルを習得するためにそれを何度も練習するという考えが強く、そのような指導を行うことが多いですが、もう少し大らかな視点で捉えると良いのではないかと感じています。

また、体育以外にも学級活動、あるいは、道徳でも取り組める可能性もあると思います。
齋藤喜博という教育者がいるのですが、その方の実践からも同じような視点を感じたことがあります。朗読であったり表現活動であったり色々な活動をバラバラに捉えるのではなく、総体として丸ごと受けとめて育てる実践だったのではないかと。

コオーディネーションの理論を学んでから、今さらながらに考えました。齋藤喜博の実践は、まさにコオーディネーション的な発想だったのではないかと。

伝え方の大切さ

実際にJACOTさんをお呼びして、夏の教員研修と6回連続のモデル授業をして頂きました。運動が苦手な子が体育が好きになった等、子どもたちはもちろんのこと教員からも大変好評でした。JACOT さんの指導を見させて頂いて一番魅力に感じたのは、表現・言葉の豊かさです。

「こういう伝え方するのか」と改めて伝え方の大切さを痛感しました。私が指導した「くの字運動」「Sの字運動」にしても、多分、もっと子どもに上手く伝わる言葉や模範があるのでしょうけれど、そこがやはり自在だなと強く感じました。私も、鏡の前で「くの字運動」を練習しながら子どもに伝わる表現を考えています。

全校に広める作戦

1年生と4年生からは、体育の最初に帯で取り入れたいと担任から要請がありまして、私が指導しています。他の学年は体験する機会がないので、業間休みに体育館で実施しています。

普段から「外で遊ぶ」を奨励し、自分も一緒に遊ぶようにしているので、外遊び優先でもいいから「もし来たかったらやるね」という話をして始めました。そうすると、少数ながらも全学年の児童が体験できる機会が生まれ、時々、先生がついてきて一緒にやってくれます。非常に楽しんで参加してくれていますので、全校に広める作戦の1つとして行っています。

伝えたい想い

校長も教員ですから、「やっぱり、やりたいことやろう」と(笑)。担任しか出来ないことがあるのと同じで、校長しかできないこともあると思います。何よりも、良いものを伝えたい。

子どもと先生方に言うのは「ともかく良いものをあなたたちに伝えたいと思っている」と。「それが良いかどうかは、あなたたちが判断して欲しい」というスタンスでやっています。

やはり、子どもが楽しんでくれているので、それが一番です。コオーディネーションを全国で取り組んでいる方も同じではないでしょうか。やはり、子どもが楽しく運動していて、「ああ、この時間楽しく過ごせたな」とか「汗をいっぱいかいて、気持ち良かったな」と、そういう経験をさせてあげたいですね。全国の皆さん、一緒に頑張りましょう!

菅野美津枝先生(JACOT名誉理事)の授業はじまりの挨拶

みんなには力がある。
今はまだ引き出されていないだけ。
引き出すのは自分。
先生たちはチャンスを与えるだけ。

①素直に聞くこと
②失敗を恐れないこと
③人とくらべないこと

この三つができて
それを楽しむことができれば
自分の力が引き出されます。

※三浦先生による指導記録より抜粋


インタビューした人
JACOT副理事長・事務局長 菅野 映
 2005年のJACOT設立当初からスタッフとして事業の企画・運営に携わる。徳島大学の荒木秀夫先生と出会い、システム科学から人間行動科学までを網羅した理論と実践法に感銘を受け、2009年に徳島大学大学院へ進学。現在は、JACOT認定講師として幼児から高校生への指導と教員研修など全国での普及活動に励む一方で、ライセンス教本の執筆、会報誌「JACOT通信」や東京都「実践教材集」の編集、映像制作を手掛ける。

※JACOTで展開しているコオーディネーショントレーニングは徳島大学の荒木秀夫名誉教授(JACOT理事長)が30年に渡る研究の中から考案したもので、基本的に脳神経系の機能を論理的な基盤とし、行動生理学的に発展させたものです。

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