特定非営利活動法人日本コオーディネーショントレーニング協会(以下JACOT)では、諸問題を広い視点から俯瞰的に見渡す視点を得るために、従来の技術、技能、巧緻性、調整力などと呼ばれる「スポーツ的な運動観」から、20世紀後半より台頭しつつある知性、感性問題を網羅した新しい「行動科学的な運動観」に基づく「コオーディネーション理論」を中心に据えた理論と実践を展開しています。
「コオーディネーション理論」は、脳神経科学、運動科学、認知科学といった学際的研究の共通項から引き出されたものでありますが、現実の「人間の振る舞い」に投げかけて、その解答を追い求める理論でもあります。この投げかけは、あらゆる階層、立場の人々が実感した感性によって、より深く、より広く高められていきます。
一方で、学術的な研究も必要となりますが、同時に、実践を通じた事実の把握、解析、理論化といった実践研究も喫緊の課題としてあげられます。このような取り組みは、一つの研究機関や、一つの行政団体では限界があるでしょう。多くの個人、機関がひとつの目標に向かって行動することが必要です。
JACOTは、様々な階層に所属する個人と団体によって組織されています。こうした「ヒューマンネットワーク」を通じて取り組むべき課題は、この実践研究の一点に集約されるといえます。単純にコオーディネーション理論そのものを展開するということではなく、広大な ヒューマンネットワークによってトレーニングとその実践法を追求することが取り組むべき中心課題といえるでしょう。
全国で開催している体験会、運動教室、運動指導は、同時に実践研究の場でもあります。実践研究は、現場 (フィールド)そのものを研究対象とすることであり、 より直接的に現場に成果をフィードバックさせるという意義を持ちます。当然、多くの大学、研究機関、行政機関においてもこうした研究は進められていますが、いずれの場合も高度な知識と経験を持った専門家による研究といった形で進められています。
しかし、社会的に問題視される事柄は、必ずしも研究組織等から発信されるとは限りません。むしろ、学校、地域、家庭といった中で、「何かがおかしい」という声が上がり、そのことが研究者や公的機関によって解明され、解決に向けて動き出すといった事例が多くみられます。
JACOTに関わる構成メンバーは専門家だけではなく、幅広い「市民」が含まれ、展開している運動指導教室では、協働事業も含めて、その対象者は毎年述べ数万人に上ります。その中で進められる実践研究は、研究室内では得られない、または研究者だけによっては得られない成果をもたらすことも可能なはずです。
このような視点から、JACOTの実践研究は、幅広い 現場から課題を集約し、既成概念にとらわれない新しい研究手法を模索しながら進められています。
現在では、運動能力、体力測定に生理学、心理学的手法を加味するなど新しいテーマにも取り組み、なおかつ誰もが参加できる研究体制の構築を目指しています。
コオーディネーションの表記
「コオーディネーショントレーニング(Co-ordination Training)・コオーディネーション理論」は、脳神経科学、運動科学、認知科学といった学際的研究の共通項から引き出されたものであります。
Coordination(コーディネーション)ではなく、Co-ordination(コオーディネーション)と表記するのは、「Co-」が持つ重要な意義に由来します。すなわち、コミュニティ(Community)、コミュニケーション(Communication)、コワーク(Cowork)にみられる「CO=コ」という「統合」の重要性につながることを強調するために、コオーディネーションという表記を用いることにしています。
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