理事長挨拶


NPO法人日本コーディネーショントレーニング協会(JACOT・ジャコット)は、「わが 国における子どもたちの運動能力の発達、各種競技スポーツの振興、高齢者等を含む国民の健康増進等に寄与する」ことを目的に2005年3月に設立しました。

2008年9月、私の理事長就任とともに荒木秀夫理事に副理事長をお引き受けいただき、「新生JACOT」として新しい船出をし、今年で8年目を迎えます。

私は順天堂大学サッカー部でのチャンピオンスポーツ、そして少年サッカーでの青少年スポーツに携わり 30年以上にわたる指導現場を過ごして参りました。これらの経験を通じて、常に疑問に感じていたのが、“選手の能力の差というのは一体どこに原因があるのだろう”という事でした。生まれ持った素質として諦めてしまっている能力を後天的にトレーニングで高める事はできないのだろうか。そういった研究を進めていく中で出会ったのが、コーディネーショントレーニングでした。

日本では50年以上も前から「協応性」「調整力」などの表現で体力科学の領域で、その重要性が訴えられてきました。しかし残念ながら実践的な理論や体系的なトレーニング法が、今日の教育者や草の根の現場まで浸透するまでには至っていないという現状でした。

設立当初は、子どもの体力低下問題や発育発達の配慮が薄い勝利至上主義のスポーツ指導に対するアプローチとして、ライセンス制度による指導者養成を中心に全国で普及・啓発活動をしてきました。しかし、活動を進めていく中で、現代の子ども・若者を取り巻く現状を広く見渡してみると、スポーツ現場だけでは解決できない、大きな変化に気付かされました。

それは、消費活動や情報の活用等における早熟化・日常化が進む反面、生産活動や創造的なスポーツ・芸術活動など人間の行動を支えている身のこなしの「おかしさ」や精神・社会的能力の「ものたりなさ」といった子どもたちの成長・発達上の課題の多さ・複雑さでした。

現代の子どもは、地域社会を支えて、生きていく上で基礎・基盤となる能力が十分に引き出されずに育っているのではないか、そして、こういった諸問題の解決においては、単に体力やスポーツ指導の問題として捉えるだけではなく、より広いテーマを網羅した体系的な理論と新しいアプローチが必要であり、実践現場で検証していくことが、真の解決に至るのではないかと考えました。

そこで、従来の技術、技能、巧緻性、調整力などと呼ばれる従来の体力・スポーツ的な運動観の「コーディネーション」から、20世紀後半より台頭しつつある知性、感性問題を網羅した新しい「行動科学的な運動観」に基づく「コオーディネーション理論」を中心に据えた理論と実践を展開し、新しい活動スタイルへと方針を転換しました。

このアプローチは、保育・教育現場の実感として報告されている「すぐ寝転がる」「転んで手が出ない」「背中ぐにゃ」といった子どもの「からだのおかしさ」はもちろん、生活の夜型化や欠食・偏食などの基本的な生活リズムや習慣の乱れからくる意欲や気力の低下に対しても有効であると捉え、実践研究を展開し始めました。

その活動も次第に認知され始め、東京都の公立学校での導入等が決定しました。これもひとえに、地域の課題を「コオーディネーション」という新しい視点で解決していこうという当協会の理念をご理解いただき、ご支援くださいましたライセンス会員と多くの方々の熱意と長年の努力の賜ものと心から感謝申し上げております。

幼少期からの身体運動を通じた様々な体験や異年齢者との交流が乏しくなり、Face-to-Faceのコミュニケーションの機会が減少し、地域コミュニティの構築が益々難しくなっていく現代において、この新しいアプローチとしての「コオーディネーショントレーニング」が学校・地域・家庭に根付くことで、すべての人が輝き、明日の未来を支える人材が豊かに育っていくことを願い、これからも私たちJACOTは活動していきます。

これからも皆様のご協力のもと、より一層コオーディネーショントレーニングの実践研究と、普及啓発に取り組んで参りますので、どうぞ当協会の活動にご支援のほどよろしくお願い致します。

7l5a4427-2≪プロフィール≫
順天堂大学 客員教授
千葉県知的障害者サッカー連盟 副会長
1944年千葉県に生まれる。順天堂大学卒業後、1971年サッカー部の監督に就任。全日本大学サッカー選手権大会優勝3回、総理大臣杯優勝6回などの業績を収め、元日本代表の堀池巧選手や名波浩選手など数多くのJリーガーを輩出した。

≪JACOTとは≫
活動理念
コオーディネーショントレーニングとは
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